ソファについて

SOFA

スタイリングレシピ vol.128 明かりについて③【人工光】

  • 京都店

 

自然光と人工光

明かりをテーマに①②では自然光についてご紹介しました。太陽から発せられる光は一日中意識する人もいれば、光を意識することなしに過ごす方も多いかもしれません。また天候や地域により左右されることもあります。これから暖かくなる3月、4月はその日差しに映り込む水面や新緑、木漏れ日を穏やかに感じて、ぬくもりにほっとすることもあるでしょう。そんな太陽や月を光源とする光「自然光」。さらに快適に生活するため、もうひとつの明かりが「人工光」です。“人工”と言葉のとおり、自然発生ではない光源です。今回はこの人工光をテーマにご紹介します。

 

スタイリングレシピvol.126 明かりについて①〈自然光〉
スタイリングレシピvol.126 明かりについて②〈紫外線〉


明かりについて③

人工的な光が存在しなかった時代は太陽の光とともに生活してきました。そして古代は「火」が放つ光を利用し、松明(たいまつ)にろうそく、ガス灯、オイルランプの時代がつづきます。現在のように天井に照明器具がつけられ始めたのは、せいぜい150年くらい前からです。それまではテーブルや棚、壁などにキャンドルやオイルランプを“置くスタイル”が照明でした。その後、エネルギー源はガスや電気の時代に。光源は室内全体を照らすことができる天井へと移動。そして光の時代は皆さんご存知のエジソンが電球の実用化に成功した19世紀後半から20世紀に入り急速に変わります。

また、電球を発明したエジソンはフィラメント(照明機器を発光する部分)として世界中の竹の中から京都の石清水八幡宮がある男山の八幡竹を使用しました。

 

 

前述のとおり、そもそも照明は、天井に取り付けるものではありませんでした。オイルを取り換えたり、キャンドルを差し替えたりして灯りをともしていましたので、テーブルや棚の上に置かれているのが一般的。唯一例外があったとするのなら、中世以降の西洋では教会や劇場などの大空間では、昇降式のシャンデリアが登場していることです。「オペラ座の怪人」はまさにその時代。これはもちろんたくさんの人が集まる空間のため安全で機能的な照明方式として工夫されたものだったのでしょう。すべてのシャンデリアは、ロープを使って吊り下げられていて、そのロープを下げてキャンドルの取り換えをしていました。現在でも吊り下げタイプのサークルロープシャンデリアなどはアンティークショップに行くとみることができます。

 

 

そして日本では明治の終わり頃から大正時代にかけて各地で水力発電が盛んになり広域にわたり電気が普及していきました。インフラとしてのガス管や電気の配線を建物内に引き込むときに、天井を使って設置したほうが容易であったために、照明器具が天井に付けられ始めた…というようなことを何かの本で読んだことがあります。

 

 

日本でも大正時代の終わり頃から始まる、日本全国への電灯線の普及する時代に、木造家屋に引き込まれる電線は備え付ける便宜上、天井に配置されることとなりました。これが洋の東西を問わない「照明器具の(天井への)大移動」といわれています。大袈裟ですね。

大正から昭和にかけて流行した照明は、なんとも味わい深いもので、乳白色のガラスシェード、花びらが開いたような可愛らしい花笠、当時の大正ロマンにふさわしい雰囲気と共に、生活環境を変える礎になったものと思います。

 


Light of the 20th century

さらに時は進み、20世紀の前半から半ばにかけて、建築の世界には大きな変化が始まりました。それは「機能主義」という新しいデザインの考え方の登場です。モノや建築、空間は人間が必要とするその“機能”に従って形作られなければならない、(そのほうがよくない?)という考え方です。それまでの建築やデザイン全般は、やたら装飾がたくさんついていて、趣向がその時代を象徴していました。機能主義によりデザインの本質は、飾ることではなく、できるだけシンプルで要求される機能に従ってのみ形態を考えるべきだと考えられるようになったのです。おそらくこの時代に姿を現した照明となれば、どこかで「見たことがある」かもしれません。

 

立体と光の調和

照明もこのムーブメントによって大きく変わることとなります。たとえば、20世紀を代表する建築家、フランク・ロイド・ライトの作品を見てみると、20世紀初期(1901年以降)での建築では照明は建築デザインに合わせたモチーフで作られたスタンドが家具的に配置されていて、まだ天井には照明がありませんでした。それが1950年頃になると、間接照明や天井照明が登場するようになります。これは照明だけでなく、空調などを含めた「設備機器」はすべて天井に取り付けられていきます。昭和世代なら記憶にあるかもしれません。エアコンがいつのまにか天井に着いていた、とか。このように床や壁面は自由に使えるようになっていったのです。

 


20世紀の名作照明

この頃に誕生した名作照明を紐解いていくと、北欧からイタリア、そして日本。“名作”といわれる照明は専門家でなくとも、一目でその価値が分かる、そういった作品が多く見られます。時代も国もデザイナーもそれぞれですが、今更ながらこんなにも多種多様であることに驚かされます。またこの頃に照明をデザインされた方は雑誌編集者、建築家、画家など「マルチに活躍された方」が多いのはなぜか現代的。建築と照明、アートと照明など、その関連性や背景を感じながら、今もしくは将来の住まいに照明を取り入れる際の参考にしてみてもいいかもしれません。ソファ選びの話の中では、リビングには〇〇の照明を合わせようと思っています、などお話されるお客様も多くいらっしゃいます。ぜひ実際に目で見て触れてみてください。

 

フランク・ロイド・ライト:アメリカ

 

理想的な光を得たペンダントライト

20世紀「PH5」と呼ばれるペンダントライトもその流れの中でデザインされた照明になります。照明デザイナーはポール・へニングセン。(Poul Henningsen)作品名は名前のイニシャル「PH」に由来しています。この照明はへニングセンが1925年から携わったコペンハーゲンの展示場会場設計のプロジェクトにより生み出されたそう。数枚のセードで包み込まれ電球から発せられる光源は直接目には見えないように、グレア(まぶしさ)のない光を実現されています。このように精巧に計算されつくした照明でありながら、PH5のデザインはシンプルで飽きがきません。現在カラーバリエーションは17種類。日本家屋からモダン、北欧スタイルにも馴染みやすいフォルムはダイニングキッチンやプライベートスペースに合わせられるなど多くの住まいや商業施設などでも見られるとおり、現在でもファンは多く、ファーストライトとして取り入れることもしばしば。世界中に愛されている照明になります。

 

ポール・へニングセン:デンマーク

 

実用的な光の彫刻「AKARI」

時を同じくして日本では彫刻、絵画、造園、舞台、インテリアデザインなど幅広い分野で活躍した芸術家のひとり、イサム・ノグチがデザインした「AKARI」シリーズ。この照明は岐阜市より地場産業の活性化の一環として岐阜提灯のデザインを依頼されたことをきっかけに、1951年以降35年をかけて製作された照明です。名前の由来は室内に太陽や月の光を入れようという意味からといいます。和室からリビングルーム、現代ではジャパンディスタイルまで。和紙と竹ひごの造形美と光の調和は誕生から60年以上、多くの家庭で愛される照明として現在も作り続けられています。

 

イサム・ノグチ:日本


最初に出会った照明は?

皆さんが最初に照明を意識したのはいつごろからでしょうか。私の記憶にあるのはダイニングテーブルの真上に付けられていた重そうなシャンデリアです。時代の流行りもあると思いますが子供ながらに「豪華だな、大きいな」と感じ、また暖かい色合いの光は自作のお料理でも美味しそうに見え、いつもあたたかな気分にしてくれました。そして自室はイエローのペンダントライト。これは10年程前に蛍光灯をLEDに交換しましたが今でも現役。どこのメーカーのものか分かりませんが、半球のころっとしたシンプルなシェードは、壁紙をイエローのストライプからホワイトにリフォームした後も空間に馴染みアクセントになっています。照明は名作といわれるものから、一般的なものまで多種多様。住まい以外にも飲食店やブティック、商業施設に行くと様々な照明に出会い、デザインや素材、機能や色、形状で明るさだけでなく気分を変えてくれます。また暖かい色合いの光はリラックスし、クールで白っぽい色味になると、頭がすっきりとしゃきっとします。天井に付けられるようになった照明は一室一灯(いっしついっとう)から暮らしの変化に合わせ一室多灯(いっしつたとう)、適材適照(てきざいてきしょう)へ照明計画は変わってきています。

 

関連記事

自宅の照明について(NHK テレビドラマ「ハルカの光」)

照明のタイプごとの機能について

参考図書

ストーリーのある名作照明案内

 


 

 

ソファ専門店トレスでは
お客様お一人お一人のご要望に合わせてソファや
ソファ周りの商品をお作りいたします。

是非一度
ソファ専門店トレスザソファテーラーでご体感下さい。

 

TRES THE SOFA TAILOR kyoto
京都府京都市中京区中白山町268-1
プラウド京都麩屋町御池1F
TEL 075-231-3511
営業時間 11:00~19:00
定休日:水曜日

ブログ一覧へもどる

お問い合わせ

CONTACT

  • 来店予約

    新型コロナウイルスの影響を踏まえ、メールでのご相談やご提案、ご来店ご予約の受付をさせていただきます。

    来店予約をする
  • 無料資料請求

    各機種に用意したサイズバリエーションや詳細なプライスリストをまとめたカタログを無料で配布しています。

    カタログを取り寄せる
  • フォームから
    お問い合わせ

    ソファに関するご質問やお困りごとはフォームにて24時間受け付けています。

    お問い合わせする
来店予約はこちら
無料資料請求