まじめなソファができるまで 第6回
- 京都店
春分の日が過ぎ、すでに本州各地で桜のたよりが聞かれるようになりました。
工場のある石川県は、気温が10度前後いったりきたりしているところですが、
心湧き立つ春はもうすぐそこ、といった時期ですね。
全国のニュースで各地の開花が報じられるほど、
日本人にとって桜は特別な花。
決して大輪ではないけれど、たくさんの可憐な花が一斉に咲いて散る姿は、日本人らしさに近いものがあるかもしれませんね。
これまでトレスのソファに世界各地の素材が使われていることをご紹介し、その加工に日本の職人たちの技術が惜しみなく注がれていることをご説明致しました。
今回ご紹介するのは、もしかすると一番日本人らしい部分かもしれません。
トレスのソファの原型は、イタリアの高級ソファにあります。
イタリアにおける高級ソファとは、ただ腰掛けるための家具というだけではなく、生活そのものをエレガントにデザインするインテリアのひとつです。
しかしながら美しいインテリアは必ずしも機能的であるとは言えません。
ソファは家庭において家具であり、美術品ではなく、従って美しさを保つためにガラスケースに入れたり、触れるたびに手袋をつけるわけにはいかないのです。
温暖湿潤な気候のためか、多くの日本人はほかの国の方に比べて清潔好きであると言われます。
身体に触れる布製品は、やはり清潔に保ちたいもの。
そのためにトレスのソファは、ドライクリーニングができるファブリックを使用しています。
また、そのための気遣いは素材だけに限らず、カバーの縫製の際にも、発揮されます。
こちらはトレスの工場の縫製室。
裁断場で切り分けられたソファカバーの生地が届きました。
まずは生地の端をロックミシンでかがります。
一般的なミシンは1本針に3本糸を使っていますが、
工場で使用しているミシンは2本針4本糸のミシン。
と言っても、ピンとくる方はあまり多くないと思いますが、
これによりしっかりと縁をかがって布がほつれないようにしているのです。
また、縫製に使われている糸は伸縮性のあるウーリー糸。
ほつれに強くなるのはもちろん、何かの拍子に糸が引っかかってのびてしまっても、自然に戻りやすくなっています。
カバーをクッションの形に合わせて立体的に縫製し、
最後はファスナーを取り付けます。
ソファメンテナンスをする際、
クッションを取り出すために縁の部分に一番負荷がかかります。
そのため、その部分には特にしっかりステッチを施します。
これを閂止めと言います。
”閂”の字と同じように一の字に縫い付けるのです。
ほつれや破損に対して、念入りに念入りに方策を巡らせて作られるソファカバー。
それはもちろん、洗濯やメンテナンスを繰り返し、長く使っていただきたいから。
厳選されたトレスソファの素材の中でも、一番負荷がかかり、一番取り換えが早い部分ではありますが、それでも、少しでも長くお客様に使っていただきたいのです。
多くの布製品が海外で作られることが多い昨今。
トレスのソファカバーは石川県の工場で縫い上げられています。
職人がひとつひとつ、手元で責任をもって仕上げることにこだわっているからです。
さて、縫製室でソファカバーが縫いあがりました。
このカバーと、そしてソファ本体が、次は梱包場という部屋に運ばれます。
次回はこの梱包場からご案内いたします。
どうぞ楽しみに、お待ちくださいませ。
TRES THE SOFA TAILOR kyoto
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