まじめなソファができるまで 第5回
- 京都店
古代ローマの時代。
フェニキアの貝から作られた染料で染めた紫の生地は、「王者の紫」と言われ、地中海の覇者カエサルのマントや、ローマの皇族の衣服を彩りました。
染色方法はフェニキア人の中で秘匿されたため、その染物を得るために、ローマ人たちは大金を惜しまなかったそうです。
いきなり脈絡のないことを言いだして申し訳ありません。
紫といえば、日本でも高貴な色。
冠位十二階で最も位階の高い者が身に着ける色とされていますよね。
古代ローマと日本の不思議な共通点に思いをはせておりました。
当ブログやウェブサイトでも何度かご紹介しておりますが、
当社ソファの張地はほとんどをイタリアから輸入しております。
ご存知の通り、イタリアは古来より芸術の一大発信地。
美しいものに投資を惜しまない気風が、今日のイタリアのファッションやインテリアを発展させたのかもしれませんね。
技術の発達によって、化学繊維であるからといって、
身体に悪かったり、質が悪かったりする、ということも
なくなってきましたが、
やはり天然素材の風合いのよさ、心地よさ、
時がたっても魅せる美しさは格別のものがあります。
イタリア製ファブリックは、そういった天然素材を質のいいソファ生地に仕立て上げることに定評があります。(織り目を安定させるために、ポリエステルやアクリルを混ぜていることもあります)
トレスのソファに選ばれている張地は、
そうした質が良く、自然で、美しい生地たちです。
さて、そうして作られた美しい生地が、
メーカーの担当者によってソファの工場に持ち込まれます。
そこから選ばれたファブリックが、工場の保管室に並べられて、
お客様からのご注文を待っています。
その数160種類600色。
イタリアから送られるのを待っていては、すぐに製作に移れませんので、
常時これだけのファブリックを在庫しているのです。
そしてその生地を扱うのは、石川の工場の職人たちです。
かつての加賀藩の文化政策により、石川県は加賀友禅や加賀羽二重などに代表される高級織物の一大産地となりました。
それにより繊維産業が発達し、紡績や縫製はもちろん、それに必要な機械部品をつくる工場が今も軒を並べます。
石川県にあるトレスソファの工場でも、脈々と受け継がれる石川の職人たちの技術と、
ハイスペックな工業用ミシンで縫製を行っています。
その技術は生地の裁断にも及びます。
こちらは裁断場と呼ばれる工場の一室。
ご注文の入ったファブリックを用意し、ひとつひとつ鋏を入れていきます。
生地それぞれの特性を把握し、伸縮しやすさに応じて3種類の型紙を使い分けます。
さらにトレスソファ最大の特徴が別注対応です。
定番とは違う大きさのご注文が入った時は、そのサイズに合わせて型紙を動かし、
切り分けていくのです。
最近では可能な範囲で自動裁断機を導入しましたが、
まだまだ人の手による裁断が必要な生地は多く、
工場スタッフは作業台に身を乗り上げながら裁断をしています。
さて、今回の記事はひとまずここまで。
次回は切り分けられたソファパーツの縫製について、ご紹介致します。
どうぞ楽しみに、お待ちくださいませ。
TRES THE SOFA TAILOR kyoto
京都府京都市中京区中白山町268-1
プラウド京都麩屋町御池1F
TEL 075-231-3511
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定休日:水曜日