アームの縫製から学んだこと
- 金沢店
来店されるお客様がソファを選定する中で、
「ふんわり包み込まれるような座り心地が好き」
「シャープでスタイリッシュなデザインが良いな」
など、注目されるのは座り心地や全体のデザインが大半です。
そんな中、「JDのアームの縫製に引っかかる部分がないのが良いわ」
と言うお客様がいらっしゃいました。
お客様のおっしゃる通り、JDの肘上部には凹凸がないため
私も手ざわりの良いソファだと思います。
そこからアーム部分の縫製が気になり、
デザイナー道畑へ縫製について何か意味があるのか聞いたところ
JDの魅せ場のひとつは縫製だとのこと。
近くで見ると分かりやすいのですが、
このようにJDはダブルステッチを多く採用しています。
JDの特徴である曲線を多用したやわらかなフォルムを表現するため、
シングルステッチで強調されるラインを出さず、シームレスな印象となるダブルステッチを採用。
また、クッションに用いられるパイピングがより映えるデザインにしているとのことです。
こちらはJDと姉妹ソファのXです。
JDとは違い、ラインをキレイに見せるためシングルステッチが施されています。
このように似たようなデザインでもステッチによって
印象が変わるのがとても面白く興味深いです。
ソファの大半は縫い目の強度アップのためにもステッチを施しています。
以下の写真の通り、シングルステッチは片方に縫い代を倒すことにより凹凸が出るため、
ラインを見せたいときに用いることが多い手法です。
シングルステッチではパーツ同士の縫い目にシャープなラインが出るわけですが、
それも踏まえモデルごとのアーム周辺のパーツ分けについて着目してみました。
例えばGFのアームもシングルステッチを用いておりますがこちらの斜線部の通り、
アームの外側で1枚、
アームの前方から上部にかけて1枚で構成されています。
前方から上部にかけて1枚の生地で縫製されている理由は、
アームから背面に流れていくような一体感を見せるため、
そしてアーム上部が前方から奥に行くにつれて細くなっていくのを
より感じられるように、とデザイナー道畑は話してくれました。
改めて眺めてみるとシングルステッチによって
ソファのストレートラインがキレイに出ているため、流れが感じやすく見えます。
次にFSBの場合はこちらの斜線部の通り、
アームの内側から上面までで1枚、
アームの外側で1枚、
アームの前面に1枚で構成されています。
GF同様に流れを見せるため、アームの内側から上面にかけて1枚で縫製していますが
アームの外側と内側とを合わせるためにシングルステッチを施すことで角が強調されるので、
角には少しまるみを付けるなど細やかな工夫がされていることを知りました。
他の機種と比べて角が強調されていないことで厳つさがなく、
奥行の深い大型ソファでも圧迫感をあまり感じさせません。
『JDにはダブルステッチが多く施されている 』
自分の中で当たり前になってしまい、何の疑問も抱いていませんでしたが
お客様からのちょっとした質問によって、
デザイナー道畑のソファへの細やかな想いや考えを知るきっかけををいただきました。
そのおかげで他の当たり前に思っていたことも疑問へと変わり、
自身の学びが増えたように感じます。
まだほんの一部ではありますが、
このように物理的な関係性とデザイン性を兼ね備えた縫製の意味合い、
そしてソファに込められたデザイナーの想いも合わせて、
今後はお客様にもお伝えしていきたいと思います。
【ソファ専門店】トレス ザ ソファテーラーでは
常時20~30台のソファを展示しております。
お好みのソファ、座り心地を是非ご体感ください。
皆さまのご来店を心よりお待ちしております。
TRES THE SOFA TAILOR kanazawa
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