11年使用したTRESソファのメンテナンスを行います (後半:木部ヌードにウエービングを張るところからスタートです)
- ストレート
TRESソファを製作している工場スタッフです。
工場に近いFRMの別注を10年間使用中のユーザーから替カバーのオーダーとともに、
もう20年使用できるようメンテナンス依頼を受けました。
工場に戻して確認したところ木部はもちろん、
ウレタンもウエービングも目に見える劣化は確認できませんでした。
木部ヌードになるまでウレタンやウエービングなどすべてを取り外して新しい部品の取り付けの開始です。
⑥木部を丈夫な広葉樹の無垢材がフレームを構成しているので半永久的に使用が可能です。
今回はウエービングの張ったところからスタートです。
10年前と使用しているウエービングはイタリアのインテス社の同じ番手のものですが、
張り方は進化しています。座る部分の耐久性や安定性を強化する目的で密度を上げています。
⑦次はウレタンの取り付けです
水平部分は負荷が多くかかるので更に高密度のウレタンを使用しています。
10年前と変わったのは接着剤です。今年から環境や健康面を考慮して
水性のウレタン用接着剤を使用しています(以前は有機溶剤系でした)。
ヨーロッパ等では一般的になりつつあるようですが、
国内のソファメーカーでで水性を使用しているところはまだ少ないのではないでしょうか。
トヨタや日産など自動車メーカーは水性を使用しています。
⑧ウレタンの上にカバーリングの表面生地をかぶせられるように
下張りのトリコットを張り付けていきます。
廉価版のソファはこの時に表皮を張り込んでしまうのでカバー交換ができないのです。
この生地はマジックテープを留めることができて耐久性があるので下張りには最適です。
⑨最後にカバーリングのカバーをかぶせて完成です。
カバーリングとは思えないフォルムがきれいにかっちりと出た最高の仕上がりです。
生地は10年前と同じものを選ばれたので、新品となって、また最新仕様のパワーアップをしてお戻ししました。
ソファが10年過ごした場所にお届けして設置しました。ユーザー様もお元気で、もう20年ご使用ください。
工場引取りのメンテナンスの解説はいかがでしたか。
イタリアなどのソファ先進国ではメンテナンスをして長く使うことが一般です。
ローマ時代の椅子がオークションなどで高値の取引があるように、
ソファや椅子文化の歴史も違うので比較はできませんが、
日本だと漆器をメンテナンスして数十年使うという感覚と似ているのではないでしょうか。
結局その方が割安で一流のいいものを長く使うことができます。
着物もそうかもしれません。TRESのソファは子や孫に使ってもらえるかもしれません。
元々ソファとはそういうものなのです。
そしてTRESのソファがそういう評価を少しでも広められるよう努力してまいります。