スタイリングレシピ vol.133 ライフスタイルインテリア
- 京都店
「居は気を移す」という言葉があります。環境が変わると気持ちも変わり、生き方さえも変わるかもしれません。インテリアの雰囲気を変えることを“模様替え”と表現しますが、住まいのしつらえは、その人の価値観や人生観の表れる場所でもあります。歳を重ねるごとに似合う服が変化いくように空間の好みも変わっていくもの。「若い頃は大きなソファを置くことが夢だったけど、これからは夫婦それぞれが寛げるようにしたい」など家族構成の変化やこれからを思い、暮らしや自信をみつめるタイミングの方も少なくないと思います。
ただ夢を追うだけではなく、これまでの経験、現在、将来、自分の生活習慣と照らし合わせた現実的な考え。今回のテーマは「ライフスタイルインテリア」。ウェルビーイングに注目しご紹介します。
“ライフスタイル”とは?
「ライフスタイル」は英語の「lifestyle」が語源。20世紀初めにオーストリアの心理学者アルフレッド・アドラーが提唱した「生活様式」という概念が由来になっています。“life”は「生活」、“style”は「様式」ということで、個人の生活様式や価値観を反映した行動や習慣のことを指します。ライフスタイルは時代や、年代、性別によっても変わるのが概念です。自分に当てはめて想像してみても、その変わりようは、ひとことで語ることは難しいと感じます。社会・文化・経済・食事・衣服・住居まで、人生や暮らし、大切にしている“価値観”。さまざまな要素から成り立っていることが分かります。
ウェルビーイングとは?
今回ご紹介する「ウェルビーイング(Well-being)」は、心身ともに満たされた状態のことを指します。well(よい)とbeing(状態)からなる言葉。実際は1960年代からありましたが、近年注目が高まり、耳にする機会が増えました。「よい状態といわれても、人それぞれ違うでしょ」と思われるかもしれません。実はそのとおりで、なんとも曖昧な定義です。では住まいではどのようにこの考えをとりいれていくのか?物質的な豊かさだけでなく そこで暮らす家族みんなが心も体も健康で、幸福な状態になることを目指す、ということになります。
住まいに「住む」を訳すと “Live” の本来的な意味は「生きる」です。「(ある場所で) 生きる」という場所の要素が加わると、「住む」の訳になります。住むとは、そこで生きること。少なくとも幸せを感じられるようにするということろからはじまります。
この言葉を融合させるという考え方は、 フィンランドを中心とした北欧など、「住まい」というものを大切にしている国で盛んに広がっています。インテリア研修でデンマークを訪れたときにお宅に訪問する機会があり、そこで迎え入れてくれた奥様から次のようなお話がありました。
「私たちは毎日、多くの時間を自宅で過ごしているわ。気づかなくても、よくも悪くも毎日何かしらの影響を受けているの。家からも、そこに置かれているモノからも。家は外でがんばるための基地になる場所でもある。まず、そこを幸せな場所にしたいなと思いながら日々生活しているのよ」と。
この地域に住む人々は、寒さで外に出られず、家にいる時間が長いことから、 室内でいかに快適に過ごすかということに重点を置いているのということです。自分らしい住居に暮らし、自分のための時間や、家族や友人との時間を過ごす。家の外で消費するだけでなく、家の中にある幸せを感じたり、家の中に幸せをつくることに価値を置いています。
また日本もWell-Beingを促進する動きがみられます。例えば近年、様々な職場で実施されているWLB(ワークライフバランス)の取り組み。働き方改革や在宅勤務の普及により「自分らしい生活」や「心のゆとり」をもちやすいようになりました。また心に余裕ももつことで、働くことで満足感がより一層感じられるようになったと思われている方もいるのではないでしょうか。本来、詫び寂の日本にこそ、こういった価値観が根付いていると思いますが、やはりそれだけの環境や時間や余裕、まわりの理解が必要なことも意味するため、現実との折り合いをつけて生活をする働き盛り世代にとっては切り離せない重要なテーマです。住まいにおいては単に見た目や物を置く場所としてではなく、“使う人の心身の健康や幸福に良い影響を与えてくれるモノ”を知る必要があります。
ウェルビーイングを高めるインテリアスタイル
インテリアに取り入れられるウェルビーイング的要素をご紹介します。
植物を身近に置く
自然を感じられる要素を取り込むことで、幸福度・創造性がアップするという効果があります。
目に入るグリーンの量を多くする
視界に入る緑(植物)の割合を「緑視率(りょくしりつ)」といいますが、近年は健康に配慮する際の指標として注目されるようになりました。部屋を考える時にグリーンはかかせないアイテムと認識しながら合わせていましたが、調べてみると国土交通省の調査でも緑視率の割合が高いほど(空間の25%以上)、安らぎを感じる人が多くなることが証明され、ストレスの軽減・集中力の向上・生産性の向上という効果が期待できる調査結果がでているそうです。効果を言葉で表現すると「さわやか」「うるおい」「やすらぎ」です。それは室内だけでなく、窓から見える景色、バルコニーの植物も含まれます。
また観葉植物を取り入れる場合、心配なのが手入れや管理の問題。そんな時は代替案としてアーティフィシャルグリーンの導入も考えてみてはいかがでしょうか。中には「造花なんて」という声も聞こえてきそうですが、最近では本物そっくりに作られている商品も多く、最初のコストはかかりますが、メンテナンスがほとんどいらないので導入は簡単です。フェイクグリーンについても、視覚的なストレス軽減やリラックス効果など、観葉植物と近い効果があり最近は、空気をきれいにする効果がある光触媒も人気があります。
【アーティフィシャルグリーンのメリット】
水やり・日光浴は不要
水やりも日光浴も必要無いので枯れる心配は無用。管理の必要がありません。
暑くても枯れない
季節の変化があっても長く楽しむことができる。南側など置く場所にも気をつかいません。
重くないから移動も簡単
土が入っていないから重くない軽量。女性でも簡単に移動できます。
お手入れ簡単
葉表面の埃を掃うだけなのでお手入れ簡単です。
虫が寄らず衛生的
虫も寄らず、土にカビも生えないので衛生的です。
アレルギーの心配がない
花粉症や植物アレルギーの方でも安心して飾ることができます。
まず気軽にできることとして、自分のデスクやダイニングテーブルに一輪だけでもいいから、季節の植物や花を飾ってみてください。これはいまさらですが性別は関係ありません。今の季節であれば紫陽花、夏だったらヒマワリ、秋だったらコスモスとか。植物が視界に入ると、自然のリズムと自分のリズムが調律されてくるはず。それだけで、不思議と心が穏やかになってきます。
sofa【TB】カウチセットをお選びいただいたI様邸。リビングルーム全体のバランスと高低差を意識して、どこで過ごしていても植物が視界に入るように工夫されています。シンプルなソファこそ映える配置です。
高低差をつけたレイアウト
観葉植物は大きな植物と小さな植物を組み合わせることで、部屋に奥行きと立体感が生まれます。画像では窓際に置かれたのは「フィカスアルテシーマ」。手前には「サンスベリア」。縦長リビングの場合は、奥に高さのある植物を置くと、広く感じられます。
入口をはじめキッチンからの眺め、ソファからの眺めの視界を意識して植物を配置しています。また鉢の色合いや質感にもこだわるとより、アクセントにもなり奥行感を感じられます。
深みのあるベージュが爽やかなフローリングのうえにsofa【GRVA】を合わせたM様邸。ホワイト系ファブリックで空間と上手く中和。デッドスペースになりがちな階段下にアレカヤシを合わせることで鮮やかで涼しげな印象を感じられます。観葉植物の中でも人気の樹木。先のとがった明るい黄緑色はポジティブな気持ちにしてくれるため、リビングルームにおすすめです。
植物の生命力や育てることが好きなH様ですが海外旅行やお仕事の関係上、不在にすることも多いライフスタイル。これまで何度も枯らしてしまわれたこともあるそう。それでも植物の躍動感や色合いは取り入れることで気分も癒される良さもあるからと観葉植物はアーティフィシャルグリーンを選択されています。ブルーで仕上げられたsofa【TB】に合わせたのは「ユッカ アロイフォリア マルギナータ」。ソファの高さや雰囲気を考慮しながら選ばれました。深みのあるブルーの張地にシャープな葉姿がモダンな空間にお似合いです。
H様おすすめのアーティフィシャルグリーン「エミリオロバ」
素材
みなさんは「素材感」という言葉からどんな素材をイメージしますか?ほとんどの人がガラスや金属などの人工素材よりも、木や植物などの天然素材を使用した家具に「素材感」を感じるのではないでしょうか。例えば打ちっぱなしのコンクリートで仕上げられた壁や石材の床は一見スタイリッシュでクールな空間ですが木材やファブリックなど天然素材を室内装飾、家具に採用することで、自然の質感や風合いを感じられ気分も癒されます。
天然木のソファにサイドテーブル、カーテンを合わせて
落着きのあるグレー系石材で仕上げられたK様のリビングルーム。木フレームはウォルナット(くるみの木)で仕上げられたカウチソファとサイドテーブルを主役にウインドウトリートメントは軽やかでロハスな印象のリネンを合わせて、天然素材特有の風合いをバランスよく感じられる空間です。
石材×天然素材のファブリックで仕上げるソファ
石を割ったままのような自然な風合いの割肌で仕上げられた石材が貼られた壁に沿わせたのはsofa【EE】。ソファの張地に選ばれたのは天然素材と化学繊維の混紡KUGシリーズのブラウン。コットンのふんわりとした柔らかい肌触りの良さと、ビスコースの艶っぽさ、化学繊維の耐久性やイージーケア性が両立したファブリックは空間にぬくもりと快適性をプラスしています。本革ソファからの買替でTRESを選ばれたT様。ぬくもり溢れる家族の時間を過ごせそうですね。
インテリアは自然とも関係しています。無垢の木材などの自然素材で作った家具・調度品、お
もちゃに食器、カトラリーまで。人々の気持ちを落ちつかせます。アールヌーヴォの唐草模様をはじめ、多くのインテリアデザインは自然の造形をモチーフにしているなど、自然をとりいれることで安らぎの空間を演出しています。
癒しアイテムの活用
読書や映画鑑賞、友人との会話、家族とのひとときなど、さまざまなシーンでの使用を考慮した、アイテムを合わせるだけで日常の質を向上させてくれます。
くつろぎ方に合わせたクッションセレクト
例えばソファではふんわりと腰から頭までサポートしてくれるヌーククッションを合わせるだけで、くつろぎ感がアップ。必要なところだけハイバックに切り替えることもできます。中材はチップ状に加工された高密度ウレタン。ファスナーを空けてボリューム感を調整できる上に、メンテナンスフリー。体を優しくサポートしてくれます。
NOOK背クッション(ハイバック仕様)
cover fabric: GRK-WH(ホワイト)[G-type]
size: W700/H700
一般的なピロークッションは正方形ですが、長方形に仕上げられたクッションはボルスタークッションといいます。「支える」という意味の通りあらゆるところを支えるために使われます。
腰の後ろ側に
腰とソファの間にすっぽりとハマる!気持ちのいいひとときです。
足枕として
両足をのせると少し角度がつくので一日の疲れも解消。ソファで横に寝転がる時にはかかせません。
ストレスを軽減する部屋の動線
目的の場所に行くとき、道が狭かったり、遠回りしたり、足元が悪かったり、これは快適とは真逆の気持ちになりますね。広さのある部屋でもコンパクトな部屋でも同じこと。狭い空間での動線は「ぶつからないようにしないといけない」「すべらないようにしないと」など移動時の緊張感が生まれストレスやトラブルの原因につながります。そのためソファをはじめ、床に物を置くことを計画する際は選ぶ前に動線シュミレーションをしっかりと行うことです。あなたが大丈夫でも家族やたまに遊びにくる友達のことも考えて部屋の動線を考えましょう。
移動の妨げ
狭い動線はスムーズな移動を困難にします。例えば朝急いでいる時や荷物を持っている時、食事などの配膳をしないといけない時です。一日の動きはあなたにしか分からないものでもあります。イメージだけでなく、把握しておくようにしましょう。
衝突の危険性を回避する
通路が狭いと、立位以外の動作をするときに、腰をぶつけてしまうなど衝突の危険があります。歩く、かがむ。この二通りの動作をスムーズに行えることが理想ですが、限られたスペースであれば、優先順位を決めることです。生活をしてみて分かることもありますが、室内で危険に見舞われないようにしたいものですね。
閉塞感
長い時間狭い空間で過ごしていると、どうしても閉塞感を感じ、心理的なストレスにつながることがあります。逆にモノが沢山あり狭いほうが集中できるという考え方もありますが、しらずしらずのうちに気持ちが圧迫されて、視野が狭くなる、ということもイメージしておきましょう。広さのある空間であればサイズや色の選択で改善はできますが、その逆の場合はできるだけ睡眠や食事をとる場所は体が快適に過ごせるものを選ぶなど、質にこだわることをおすすめします。
足元の状況
動線(道)をつくるということは足元もポイントです。床材は表面の質感により滑りやすかったり、逆に足をとられやすかったりすることもあります。また、せっかく敷かれた絨毯やラグも接着が弱く、すぐにめくれてしまいやすい仕様のモノではつまづいてしまう原因にも。裏貼り加工がされているものなのか、表面だけでなく、裏側も確認しながら選びましょう。
室内が高湿度な環境では、床の表面に水が付着したり結露したりすると滑りやすくなることがあります。梅雨時期や夏場、雨の日など湿度が高くなる日は要注意です。また冬場は窓際の結露も気になるとこと。「結露を拭き取るのが大変です」というお話も聞くことがあります。またリビングルームや洋室だけでなく、湿度が高くなりやすい浴室周りの床は表面の水気を放置しないように気をつけましょう。
アースカラー・色彩で感じられる自然
アースカラーは、自然に根ざした落ち着きのある色調で、汎用性が高いのが特徴です。チョコレートブラウン、モスグリーン、マスタード、アッシュなどの濁った色は、すべてアースカラーのカテゴリーに属します。これらの色は屋外からインスピレーションを得たもので、ナチュラルな色合いはインテリアをより家の様な落ち着いた雰囲気にしてくれます。
ブラウン×ネイビー
ウォルナット材のソファ【C】に合わせたのはBELシリーズのネイビーは今年に入り採用される機会にも恵まれ、サテン糸としっかりと染まった紺色が柔らかな光をまとい、ソファのフォルムを美しく表現してくれる一枚です。リビングルームから、1階の階段を上がると現れる別の独立したスペース。アースカラーのひとつ、キャメルはラウンジチェアに。家族一緒にリラックスできる空間に仕上げています。
BEL-NV(ネイビー)[E-type]
ブラウン×アッシュ
アッシュカラーは、くすみ感のあるクールな印象を与えるため大人っぽい雰囲気や落ち着いた印象にしてくれるカラーのひとつ。少し赤味の強いブラウンのフローリングにも馴染みやすいのが魅力です。sofa【TB】カウチソファに合わせたのはARNシリーズのアッシュ。リサイクルコットンによる自然な発色と柔らかさ。一見スタイリッシュなデザインのソファでも触れると癒されて、なんともいえない幸福感につつまれます。
ARN-AS(アッシュ)[E-type]
穏やかな曲線で優しい雰囲気に
家具の形もインテリアを形作る重要な要素のひとつ。シャープで洗練された印象の直線と異なり、曲線はゆるっと、ふわっと、滑らかで、気持ちが軽くなる曲線や丸みを帯びた形。角のない、丸いモチーフは優しさや居心地の良さを感じさせてくれます。最近では住まいだけでなくオフィスにおいても同様に、緩やかな曲線は空間にエレガントで、もの柔らかな印象を与えてくれる。ストレスを軽減し質の高い時間を過ごすことができます。
「落ち着いた雰囲気の部屋に住みたい」「シックでおしゃれな空間を作りたい」そんな方におすすめなのが紺色(ネイビー)を取り入れたソファスタイル。自然界では、夜空の深い青や広大な海の色としても見られ、心を落ち着かせる効果があることから、世界中のインテリアデザインでも多く採用されています。sofa【FSB】に合わせたのはBELのネイビー。光沢とハリが生きる構築的なフォルムがスタイリッシュ。グレー、淡いブルーを差し色としていれれば上品で洗練された印象を与えるだけでなく、心理的にもさまざまな良い影響をもたらします。またメインのソファ以外の家具は丸みのあるデザインを合わせ穏やかで柔らかい雰囲気に。ラウンドテーブルは角がないため、万が一小さいお子さまが頭や顔をぶつけてしまっても衝撃が少なく安心、居心地の良い空間づくりに最適です。
coordinate sofa:FSB・別注1P
furniture:ラウンドテーブル
accessories:観葉植物
TRES NAVY FABRIC
AVG-NV(ネイビー)[C-type] BEL-NV(ネイビー)[E-type]SC-NV(ネイビー)[F-type]
TRES BLUEGRY FABRIC
PIBI-LB(ライトブルー)[F-type]
TRES ASH FABRIC
NRD-AS(アッシュ)[E-type]KRIB-AS(アッシュ)[G-type]
この記事を参考に、あなたのソファスタイルを充実してみましょう。
【ソファ専門店】トレス ザ ソファテーラーでは
常時20~30台のソファを展示しております。
お好みのソファ、座り心地を是非ご体感ください。
皆さまのご来店を心よりお待ちしております。
TRES THE SOFA TAILOR kyoto
京都府京都市中京区中白山町268-1
プラウド京都麩屋町御池1F
TEL 075-231-3511
営業時間 11:00~19:00
定休日:水曜日