ソファの開発は難しい? シリーズ
TRESソファを製造しているスタッフです。
1 脚は思っているより大事
ソファ意匠性の重要な要素とは?と問われてすぐに答えられる人はあまりいないと思います。
視点によっていろいろな考え方がありますが、下記のことが頭に浮かびます。
デザイナーやコーディネーターではないので作る側からの考え方です。
・ソファのデザイン
・カバーのファブリックや革
・脚
今回は脚についてお話ししたいと思います。
高級ソファラインのイタリア勢は市販の脚は使わず、すべて自社オリジナルを使用します。
費用もかかるしロット生産になるので在庫の管理にも手間がかかります。
数種類なら問題ではありませんが100種類くらいになると数百万から1千万円単位の在庫金額となります。
TRESはイタリア製の生地同様、すべて自社オリジナルの脚を即出荷できるよう、
常時大量のオリジナル脚を在庫しています。
ソファ用に輸入品をはじめ国産の脚も市場にはたくさんありますが、
どうして高級イタリア勢やTRESは、費用や手間をかけてオリジナルを在庫しているのでしょうか?
市販品をつかうと安っぽく見えるというのが私の主観です。
理由はいろいろ考えられますが、とにかくよくは見えないと思います。
輸入品の鋳物(ダイキャスト)を使っているメーカーはありますが、
高級感や輝き具合はジュラルミンや真鍮の削り出し、ステンレスの鏡面磨き、
チタン製の脚などTRESが採用してきたものは一線を画しており、
既製品で品質とデザイン両方が優れているものは皆無だったのでオリジナルを開発しました。
木製の脚においてもウオールナットやブラックチェリーの無垢材の
オイル塗装でスマートものは見当たりませんでした。
ですからソファ同様に金属脚も木製の無垢脚もソファデザイナーが
ソファ開発時にデザインをして製作してきました。
きれいな脚が人気になると複数のソファに定番化されるものもあります。
しかし、新たなデザインに必要であれば躊躇なく新しい脚を準備します。
問題はとてもきれいな脚ができてもソファが売れないと、日の目を見ないということです。
下記のソファもソファ脚もとてもきれいですが、オリジナルソファのプロモーションが十分ではなく、
5年間100本以上在庫されたままです。
これがオリジナル脚の開発をメーカーが躊躇する原因となるケースです。
肉厚の真鍮のリングを削り出し、2ピースの黒塗装でサンドイッチしたこのソファ専用のオリジナル脚です。
ソファも脚もとても完成度が高く、人気が出ても不思議ではありません。
これから、さらにデザインもプロモーションもスキルアップして素敵なソファに仕上げて
このきれいな脚がユーザーから支持されるよう再トライしたいと思います。